[山毛欅尾(ブナオ)山]
カタクリの大群落と巨大ブナ
山名:山毛欅尾山、点名:山毛欅尾、三等三角点、標高 1,365.07 m
基準点コード:TR3-5436-35-2901、5万分の1地形図名:白 峰
撮影:平成15年7月6日
平成11年5月1日
吉野谷村にあって、笈ヶ岳へ登るには、このピークを越えてゆくのが一般的。4月下旬から5月上旬、尾根一面に咲き乱れるカタクリ
の花が見もの。石川県内では随一の群生地で、「足の踏み場も無いくらい」という例えは、この山で
カタクリの花に出会ったときにいう言葉と実感する。この山のカタクリは花びらの筋が鮮明であるという印象はだれでも持つようである。
一方、色は薄いという人もいるが、私には幅があるという感じを受けている。薄いピンクから濃い紫まで、中には真っ白もある。
水量調整池の少し上には、周囲が6mを超すブナの大木があり、森の主といった感じ。一方、7月に登った際、山頂直下にギンリョウソウ
の大群落があった。こちらはじめじめした林床
に白く浮き出たようで、まさにユウレイバナ。過去に数回、数本単位で目にしたことはあるが、大群落は初めての経験であった。
登山道は中宮発電所を起点に、尾根に取り付くコース(途中、送水管の横を歩く)、雄谷側から発電所の水量調整池へ直接上がる(38
1段の階段)コースがある。水量調整池を過ぎると、
自然の山道となり、標高1000m前後の杉の植林地には遅くまで雪が残り、少し季節が遅れてもカタクリ、スミレサイシンの
花を見ることができる。なお、登山道は山頂直下で右折するようになるが、この辺りは不鮮明になるので、要注意。特に下りは良く方向を
見定めて下りたい。
また、杉の植林地でも、年によっては道が不鮮明なことがあり、右寄り、右寄りにコース取りをしないと、迷うことがある。最近、2件の
遭難事故があったが、いずれも下りでコースを真っ直ぐにとったため、急な壁に行き当たり進退きわまったものである。三角点の横にある黒い石は、
その内の1件にちなむ遭難碑である。