三 つ の 原 点

その1 日本水準原点 
その2 日本経緯度原点
その3 筑 波 原 点




その1 日本水準原点

 三角点の名前の由来は、地形図の作成に当り、地形(地点間の位置と高低) の把握に三角測量法を用いその地点に標柱を設置した。これを三角点と呼ぶ訳である。 かっては、それこそ測量器材を用いて、こちらと向こうの地点の距離、角度を測定し位置関係を割り 出し、地形図を作成していた訳です。当然お互いの地点を見通せるような位置に三角点を設定し、周りの 木々も刈り払っていた訳である。だから三角点がある地点は小高い位置や山頂であり、見晴らしも利 いたのである。

 しかし、近年は、三角測量に替わって、航空写真や衛星からの映像が幅を利かす時代になって、三角 点の役割 は少し変化した。点としての機能は変わらないのだが、見晴らしについては必ずしも確保される必要は 無くなり、上から見えればいいのである。我々登山を趣味としている者にとってその山の価値を決定す る展望の良し悪しが軽んじられるようになったのである。

 というグチ話はさておいて、日本国内に設置されている三角点の原点が東京、霞が関公園に有りま す。明治24年5月に設置され、ここを基点に三角測量がスタートしている訳で、これを取材してきたので報告します。

点名:G、標高 24.4140 m、基準点コード:0000000000G 5万分の1地形図名:東京東北部 撮影:平成15年6月10日




原点を納める建物  明治期の数少ない洋風建築物

この黒い扉の中に水晶制の板に標高を表示してあり、年1回、6月上旬に公開される  右から「水準原点」と書いてある





その2 日本経緯度原点


 こちらは、経度、緯度の数値により、日本と世界との位置関係を明確にする点といえばいいでし ょうか。また、日本各地の経度、緯度はここを基準にしています。港区の指定文化財となっています。

 設置してある場所は、麻布台2丁目、ロシア大使館の東側の小路を入るとその奥にアフガニスタン大使館が あり、その右手前です。 前回は3つ確認した引照点は今回は1つだけでした。
 平成23年3月の東北地方太平洋沖地震により東に27cm移動し、緯度の数値は変わらず35°39′29″1572、 経度は末尾の秒以下の数値が0110増えて、139°44′28″8869となっています。

点名:日本経緯度原点、標高 26.6 m 基準点コード:TR1-5339-35-8902、1/5万地形図名:東京西南部 撮影:平成29年9月5日


全景  左の六角柱は天測点のような…

中央の丸が…  原点です

引照点




その3 筑 波 原 点


巨大な測地観測塔に守られて  ここに  有ります

左に国土地理院、右が地図と測量の科学館  地図と測量の科学館の裏側、手前に巨大な地球模型

電子基準点、後方に測量用飛行機「くにかぜ」  VLBIアンテナ

さまざまな三角点等  筑波山も見えます

点名:筑波原点、一等三角点、標高 25.72 m
基準点コード:TR1-5440-10-2701、1/5万地形図名:土浦

撮影:平成18年2月10日

 つくば研究学園都市、国土地理院の敷地内にある三角点。通常目にする三角点とは似て も似つかぬしろものである。どでかい塔の足元に金属標(これは通常目にする4等三角点と同じ) があり、真上を見上げると、塔のてっぺんに小さな穴があって衛星からの観測が可能になってい る。

 国土地理院内の「地図と測量の科学館」では、地図と測量の歴史や原理についてパネルや実物で 紹介しており、テーマをしぼった特別展示があったり、地図、測量に関係する図書、グッズなども 販売されている。 屋外にはさまざまな三角点なども展示されており興味がつきない。


  

 国土地理院のホームページ